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地方教会の危機を考える【一教会・一牧師・一会堂】の限界と教派の壁③

投稿日:2022-07-21 更新日:

伊東市の隣に人口一万人の東伊豆町があります。東伊豆町唯一のキリスト教会は、JEA(日本福音同盟)に加盟する某教団所属の伊豆教会です。牧師が不在になって相当の年数が経ち、2・3名の信徒さんが教会を守っておられました。

所属教団も色々と対応を考えてこられたようですが、伊豆半島の2・3名の教会に牧師を派遣する人的余裕は無く、兼任するにも距離が遠過ぎてどうしようもできない状況にあったようです。

残されている数人の信徒さんはご高齢ですので、現実的にはこのまま教会が消滅するのは確実な状況であり、それは東伊豆町からキリスト教会がなってしまうことを意味していました。

伊豆教会との出会い

ある時、川奈聖書教会に伊豆教会の信徒さんがお見えになり教会の状況を伺いました。

信徒さんが静かに「教会に牧師が与えられるようにと何年も祈ってきました。先生もぜひ伊豆教会のために祈ってください」と言われて、しかし私は「分かりました。お祈りしますね」と答えることができませんでした。

「伊豆教会に牧師が与えられるように」と切実に祈り続けてこられたこの高齢のクリスチャンの祈りに、神様は私を通して応えようとしておられるのではないか。私が応えなくて他に誰が伊豆教会に行くだろうか、直感的にそのように考えました。

決して良いことではないのですが、川奈教会の役員会の許可を得る前に「日曜日の午後の礼拝で良ければ私が行きます。一切のお礼は不要ですから心配なさらないで」とその場で答えてしまいました。

”勝手に返事して不味かったな”と思いながら事後報告で「こんな話しがありまして」と川奈教会の役員会に相談すると、もろ手を挙げて賛同くださりそれは本当にありがたいことでした。

礼拝を再開して

伊豆教会の礼拝を再開して3か月が経ちます。礼拝再開を決めると時を同じくして、信徒さんの一人が手術をお受けになり伊豆教会に集えなくなりそうで、礼拝に来られるのはお一人しかいないことが分かりました。

信徒と牧師、一対一を覚悟して臨んだ礼拝。しかし、それから3か月が経ちますが不思議なことに毎回5人・6人の東伊豆町の方が礼拝にお越しくださっています。その中にはカトリックの信仰をお持ちの方もおられますし、”一度教会に行ってみたかった”という教会ははじめてという方も集っておられます。

町唯一の教会とはこういうことだとつくづく思います。

建物の老朽化などどうしたら良いか分からない問題は色々ありますが、教会減少の一途を辿る伊豆半島において、教派を越えた協力関係によって休止していた礼拝を再開することができ、私を含めて6・7人の礼拝を実施できている今の状況に神様の奇跡を見る思いです。

それゆえ、色々問題を乗り越えて神様が不思議に教会を導いてくださると期待をしています。

まとめ

今回の伊豆教会におけるチャレンジは、伊豆教会が所属する某教団のご理解、川奈聖書教会の信徒さんの応援、そして祈り続けた伊豆教会の信徒さんの信仰など様々な要素が上手くかみ合って踏み出すことができました。

この先どうなるか何も見通しはありませんが、少なくともこのような教派を越えた協力による牧師の兼任しか活路を見いだせない地方教会はたくさん存在していると思いますので、伊豆教会のチャレンジが参考になったら幸いです。

最後に私などが僭越ですが、地方教会の置かれた状況は本当に厳しいです。まだ「厳しい」と悲鳴が聞こえている間は良いのです。田舎の小さな教会は閉じられたことも知られないのがほとんど。地方では教会は音もなく倒れるのです。

ぜひ中央にあって組織を束ねる立場にある先生方に、こうした地方で苦闘している教会が教派を越えて積極的に支え合えるような大きな友好関係・協力関係を構築していって欲しいと願います。(終わり)

 

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