日本のキリスト教人口は、私が子どもの頃から人口の1%とよく言われてきました。
宗教の信者数を正確に把握するのは難しく、日本では全ての宗教団体の信者数を合算すると2億人を越えるという皮肉な笑い話があるくらいです。

地方のキリスト教人口
伊豆におけるキリスト教人口はあくまで私の体感ですが、プロテスタント・カトリックを合わせても人口の0.5%をかなり下回っています。実態は0.3%くらいではないでしょうか。
これまた私の勝手な感覚ですが、一教会・一牧師・一会堂で活発かつ安定的に教会運営し続けていくには30人くらいのコンスタントな礼拝出席者が必要だと思います。そう考えると一教会あたりの人口比からも田舎はかなり厳しいことが分かります。あえて乱暴に0.3%で論じると人口1万人でようやく一教会という話しになりますので。
ただ教会会計の負担の一番は牧師の人件費。そして立派な会堂は建築費用もそうですが、維持するコストも大変です。一教会・一牧師・一会堂のセオリーを取り除ければ、拠点を維持するハードルはかなり下がります。
仮に10人前後で拠点場所を維持し、牧師の交通費を賄えるくらいのバランスが取れるならば気持ちはずいぶん楽になります。
私が川奈に赴任した時がまさにそうでしたが、毎月毎月教会会計に大きな赤字が出てしまうのは精神的に辛いですし教会の雰囲気も暗くなりがち。持続可能な体制を整えるのは大切なことです。

川奈聖書教会の現状から
話しは少し変わりますが、参考として川奈聖書教会の現状をお話しします。
コロナ禍で礼拝出席に制約が生じていますが、感染症の制約が無ければ川奈聖書教会は日曜日の礼拝が大体40名前後、火曜の夕礼拝が7・8名です。
それに加えて、コロナ禍でオンラインによる礼拝配信というツールを得ることができ、これは地方の宣教の大きな力になります。
川奈教会でも2年間試行錯誤しながらオンライン配信を充実させてきたところです。YouTubeアナリティクスで視聴動向を分析すると礼拝式動画のほぼ全体が視聴されているのは毎週20回前後で、この2年間で新たにオンラインを通してコンスタントに礼拝に参加するようになられた方を5~8人程度把握しています。

オンラインの活用と拠点
こうしたオンラインによる宣教はこれからもっと伸ばしていける可能性を感じています。
ただし、オンラインが割と上手く機能しているのは、川奈聖書教会という目に見える拠点があり、その教会の実態が割と広く地域に認知されているからだろうと思います。
今後時代の変化の中でオンラインが実態として認識されるようになるのかもしれませんが、今現在はオンラインを生かすためにはリアルの充実との掛け算で考えるべきで、教会がどんな活動をしていてどんな人が集まっているのか。牧師のことを知っていて信徒さんを知っていて、という顔の見える実態に基づく関係性があってこそのオンライン。リアルに乏しいオンラインだけの充実では教会の外には広がっていかないのではないでしょうか。
つまり、リモートは有効な手段ですが、リモートだけで教会未設置地域の宣教は今のところ難しいです。目に見える拠点は重要で、リモートは拠点を中心とした教会の宣教範囲を広げてくれる、まさに掛け算的に機能していくのです。
ですから、地方において拠点を死守することは依然として重要。いやむしろ、リモートを利用することで小拠点を生かせる時代が到来したともいえるのではないでしょうか。

顔が見える活動
地方においてはとにかく顔の見える関係性が無いと何事も進んで行かないというのが、私の20年の伊豆生活の実感です。
どんな顔でも良い、私のような変な顔で良いのです。とにかく顔を知って親しんでいただくことで教会との関係性が地域に広がっていきます。教会の中身は私ではなく神様なので、そこには絶対の自信があります。顔を見せ親しんでもらうために、住所を持った拠点としての教会は地方において重要です。
その拠点をバランスよく維持していくために、一教会・一牧師・一会堂の制約を乗り越えていく①で書いた教派を越えた協力が地方では不可欠になっているのです。(続く)