G-CLEF

【G-CLEF】というアコスティック楽器を使ったバンドが活躍していたのをご記憶の方いらっしゃるでしょうか。
あのG-クレフの中心メンバーだったヴァイオリニストの後藤勇一郎さんが、中学生の時に私のクラスに教育実習生として2週間来ておられたのです。音楽の授業だけではなく学活や給食の時間も一緒に過ごしました。
音楽は楽しいよ

ちょうど先生の教育実習期間に合唱祭があり私はピアノ伴奏者でした。
当時は「男子がピアノ弾くなんてカッコ悪い」という思いが強く、ピアノを習っていることを知られるのも、人前でピアノを弾くのも大嫌いだったのですが、後藤先生が「山口くん、ピアノいいじゃん。音楽はいろんなことできて楽しいから続けると良いよ」と声をかけて励ましてくださいました。
何か普通の人と違うカッコよさがある後藤先生の言葉が嬉しくて、止めたくて仕方なかったピアノを細々ながらも続けていき、その後音高、音大へ進学する一つのきっかけになりました。
先生にとっては何気ないちょっとした言葉だったのでしょうが、中学生の私にはズシリときましたし結果的に私の人生に影響を及ぼす言葉になりました。
後藤先生が教育実習を終えられる時に最後のあいさつで「私はG-クレフというバンドでデビューするんです」みたいなことをお話しになられて、デビューコンサートのポスターを教室に担任の先生が貼ってくださいました。
「こういうのは絶対売れないよな」とか言ってクラスのみんなとふざけていたのを思い出しますが!?、結局あれよあれよと言う間に大人気グループになり、一緒にクラスでお弁当食べていた後藤先生がその年の紅白歌合戦に出演し、演奏している姿を私は家のテレビで見るという驚きの展開でした。
小ささを恥じて

話しは変わりますが、私の大好きなマンガ「家裁の人」の第8巻で桑田判事が言っています。「私達が少年に対してできることは、小さなことです。だけど小ささを恥じて、それをしまい込む人が多過ぎるのです」
相手が抱えている問題の大きさと自分がして上げられることの小ささ、そのギャップがあまりにも大きすぎて絶望的な思いになることがあります。しかし、10の問題に対してたとえ私は1しか出来なかったとしても、1出来る人が他に9人いればその方に対して有効な関わりが成立するのです。
様々な課題を抱えた子どもたちとの関わり、家庭の問題や経済的な問題など、自分の無力さを痛感することが多くあります。それでも、私にできる1、教会にできる1をしまい込みたくはありません。
後日談
ある時、ヴァイオリンを学んでいる下の娘が葉加瀬太郎さんの演奏をネットで観ていたので、同時期に活躍していたG-クレフの後藤先生のことを思い出して、娘に話したら「すごいね~。私のクラスにもそういう先生来ないかな」と興味を示してくれました。
そんなこともあって、今先生どうしておられるかと思いインターネットで検索したら、ヴァイオリニストとして今も幅広くご活躍の様子。SNSで連絡をしたらお返事をくださいました。
それ以来、いつかコンサートに伺いたいと思いながらも、中々チャンスが無かったのですがコロナ禍でオンラインでのライブをなさるということで先週オンラインライブを視聴することができました。
完璧なテクニックと豊かで心に響く音楽性、そしてクスっと笑ってしまうようなユーモア。本当にステキな演奏でした。
↓のサイトでCDや次回のオンラインライブの予定など見ることができます!