親子関係や夫婦関係など身近な人との関係性が上手くいかないという相談をしばしばお受けします。「あの人のこういうところが我慢できない…」、そういう時に「距離感」を見つめ直すことは有意義です。距離感を変えることで関係性に変化が生じることがあります。
適度な距離感
例えば自分の顔を鏡のごく近くで見たら、しみやしわや色々欠点が気になります。しかし、適度な距離を置いて見た時に印象が違ってくるでしょう。鏡と適度な距離をとることで自分の良いところが見えてくるのです。
そもそも、他人は自分が思うほどには自分のことを見てはいないもの。ですから、そんなに鏡に近づいて細部まで気にする必要はなのですが、ついつい近づきすぎて気にしてしまいます。一方で、鏡から離れ過ぎると見えるべきものまで見えなくなってしまい、恥ずかしい思いをすることもあるでしょう。
人間関係、夫婦関係も同じです。近づきすぎると、相手が見えすぎてあれやこれやと気になる場所が出てきてしまいます。しかし適度な距離感が持てると、相手の短所が気にならなくなり、替わりに相手の長所が見えるようになるのです。
子育てにも当てはまります。よそのお子さんのことは多少の問題を抱えていても肯定的に見られるのに、自分の子どもはあれこれ問題が見えてきてイライラし否定的に考えてしまいます。とはいえ、イライラするからと子どもから完全に目を離してしまって、見えているべきものまで見失ってしまいます。見ない方が良いことと見えていなればいけないことがあるのです。
こども部屋に作った距離
娘が2人います。お互いの存在を大切にし合う仲良し姉妹です。しかしある時、ささいなことでの喧嘩が増えたなと感じる時期がありました。それまで10畳ほどの部屋を2人で一緒に使っていたのですが、年齢的なこともあって2人の物理的な距離感が近すぎることに問題があるように思えました。
家を片付ければ何とか別々の部屋を持たせることはできたのですが、そうやって完全に生活の場所を分けることが最善の答えかと考えると我が家の場合は違うように思えました。基本仲の良い姉妹ですので、適度な距離感を持ちつつもお互いに関心を持ち、これからも支え合って歩んで欲しいと思ったのです。
そこでただ単に部屋別々にするのではなく、もう少し別の選択肢は無いかとインテリアデザイナーの友人に相談し、色々話し合った結果子ども部屋の真ん中についたてを設置してもらったのです。
上から下まで隙間の無い壁を設置したのではなく、ついたてなので多少上下は空いています。ですから、お互いの気配は感じます。けれども相手の空間がダイレクトには見えないので、その分「常時見えない・見られない」適度な距離感が生じました。
友人の細やかな配慮もあってこれはとても上手くいき、結果ついたてを設置して姉妹の関係性は以前のような仲良し姉妹に戻りました。必要以上には見えない一方でまったく無関心にはならない距離感。適度な距離感の大切さを学んだのです。
まとめ
人との距離感を考える時「適度」というのがポイントです。私たちはどうしても極端に陥りやすいもの。べったりになって失敗し、今度は顔を合わせない程過度な距離を取ってしまう。
関係性に問題が生じた時、「あの人のここが悪い」と人格的な批判をする前に、二人の距離感について考えることをおススメします。
近すぎるのもいけませんし、遠すぎるのもいけません。気にしすぎるのはトラブルのもとですが、無関心になってしまったら共に生きる意味は無くなります。極端なことをしないで、少しだけ距離感を調整してみる、それで二人の関係性が改善することがあります。安易に決めつけてしまわず、距離感の調整をしてみてください。
あなたのたった一度の人生が素晴らしいものでありますように。