過去の苦しみを乗り越えたい欲求

人生の中で同じ課題に何度も何度も直面しては、自らに同じ苦しみを繰り返してしまうことがあります。
例えば恋愛において付き合う相手がいつも暴力を振るう人であるとか、浮気をする人であるとか、同じ苦しみを繰り返すとはそういうことです。
人間には過去の苦い体験を乗り越えたいという欲求があります。ずっと昔の古い出来事であっても、痛みを抱え続けながらいつかその問題に勝利し乗り越えたいと考えてしまいます。過去の問題を積み残して前に進むことは中々できません。
無意識に、過去に苦しんだと似通ったシチュエーションに自らを置き、今度こそ自分を苦しめてきたあの出来事に勝利しようと戦うのです。今の自分にはそれができると思いたいのです。
けれども「今度こそ勝てる」と思った戦いは上手くいかず、結局同じ痛みを自らに与えることでいよいよ傷が深まってしまいます。
親から虐待を受けた経験のある人が、しばしば暴力を振るうパートナーを選んでしまうことがありますが、過去の痛ましい出来事を今度こそ乗り越えようとする戦いに自らを駆り立ててしまうような面があります。
逃げることのススメ

しかし冷静に考えれば分かります。暴力を振るう人と戦う必要などないのです。そんな人とは戦わないで直ぐに逃げましょう。関わらないことが最善です。
物騒な事件が多い時代、小学校では繰り返し不審者対策について子どもたちに指導します。不審者対策といっても、不審者が出た時に子どもがどうやって不審者と戦うかを学ぶのではありません。不審者からの逃げ方、助けの呼び方を学ぶのです。
人生の痛みや傷の対処も同じです。人生には戦わない方がよい問題がたくさんあります。一目散に逃げだした方が良いこと、直ぐに助けを呼んだ方が良い問題がたくさんあるのです。けれども、囚われている傷・痛みほど、逃げることができずこだわってしまいます。
例えば、抑圧的な親に苦しんできた人は、学校や会社など色々な場面で類似の人に出会った時にその人のことがどうしても気になって戦わないではおられなくなります。
しかし自分が傷ついてきた問題に正面からぶつかることは得策ではありません。なぜならすでに傷ついてるからです。傷ついていて弱くなっている場所、ウィークポイントで戦っても上手くはいかないでしょう。
まとめ
生活の中であなたがこだわっていることを冷静に見つめなおした時に、本当に戦うべきことがそんなに多くはないことに気づかれると思います。山で出会った熊に戦いを挑むような無謀な生き方をしていないか考えてみてください。
熊と戦う必要はありませんね。逃げましょう。
そして、本当に自分が向き合わなければいけないこと。自分が守られなければいけない大切なもののためにあなたの力を使ってください。過去の痛みを乗り越えるとは、自分を傷つけた相手を倒すことではなく、囚われずに逃げ出せるようになることです。
あなたの掛け替えの無い人生が素晴らしいものでありますように!